23歳派遣社員の卵子ドナー体験談

卵子ドナー体験談 — 23歳派遣社員「上京1年目の借金を、一括で返せた選択」

東北の地元から上京して、もうすぐ1年になります。地元の県立短大を出て、地元のスーパーで2年勤めて、それから「東京で働いてみたい」と思って、派遣会社の登録から始めました。

今、品川の中堅メーカーで派遣社員の事務をしています。電話を取って、伝票を入力して、お弁当の発注を取りまとめる。地味だけど、嫌いじゃない仕事です。

上京の代償

東京で暮らし始めるには、想像以上にお金がかかりました。アパートの敷金・礼金で30万円。引っ越し代で10万円。冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・布団で15万円。そして、派遣先が決まるまでの2ヶ月分の生活費で20万円。

地元の貯金を全部使って、足りない分は親に借りました。「働き始めたら少しずつ返すから」と言って、20万円を借りました。それが、ずっと心の片隅に重くのしかかっていました。

派遣社員の月収は手取り18万円ほど。家賃が7万5千円、光熱費・通信費・食費を引くと、貯金できるのは月に1万円〜2万円。親への返済を1万円ずつしていたら、いつまで経っても終わらない計算でした。

雨の日の朝

サイトを知ったのは、ある雨の朝でした。傘を忘れた私は、コンビニで600円のビニール傘を買いながら、「またお金が出ていく」と小さくため息をついて、電車のなかでスマホを開いていました。

たまたま流れてきた広告に「20代女性のための」という言葉。最初はよくある美容のサプリ広告かと思いました。でもタップして読み始めると、「卵子ドナー」という、それまであまり聞いたことのない言葉でした。

その日、お昼休みに会社の休憩室の隅っこで、もう一度サイトをじっくり読みました。お弁当を半分残したまま、画面をスクロールしていました。

「派遣でも大丈夫ですか?」

問い合わせフォームに記入する時、一番不安だったのは「正社員じゃない自分でも対象になるのか」でした。健康な20代の女性なら、雇用形態は関係ない、とサイトには書いてありましたが、信じきれませんでした。

初回のオンライン面談で、「派遣社員でも大丈夫ですか?」と最初に聞きました。スタッフの方は普通に「はい、お仕事の形は関係ありませんよ」と答えてくれました。その「普通に」答えてくれた感じが、私には大きな安心でした。

面談は3回ありました。1回目で身体への影響、2回目で家族にバレない仕組み、3回目で実際の流れ。決断するまでに、3週間かかりました。

派遣の仕事と並行して

派遣社員のスケジュールは、正社員ほど自由じゃありません。有給休暇も、3ヶ月勤続してからやっと10日。通院のたびに「どうやって時間を作るか」が悩みでした。

でも、Happiness Egg Bankのスタッフの方が、ほとんどの通院を平日の夕方や土曜日にスケジュール調整してくれました。「働いていらっしゃる方が多いので、慣れていますよ」と言ってくれて、本当に助かりました。

ホルモン管理の自己注射は、毎朝7時。出勤前のルーティンに組み込みました。最初は緊張していましたが、3日目くらいから「歯磨きみたいな日常」になっていました。

採卵当日は、有給を1日と土日を組み合わせて3日間休みました。前日にクリニック近くの簡素なビジネスホテルへ。当日朝に処置を受けて、ホテルに戻って一日寝ていました。月曜の朝、いつも通り品川駅に降り立ちました。

母への電話

処置から1ヶ月後、地元の母に電話して、20万円を振り込んだことを伝えました。母は「あら、もう?早かったね」と少し驚いた声でした。

あの選択のことを、母には言っていません。いつか落ち着いたら、ちゃんと話そうと思っています。「自分で決めたこと」だから、隠しているつもりはなくて、ただ、まだ自分の中でゆっくり整理している段階なんだと思います。

派遣社員の私の毎日は、変わりません。電話を取って、伝票を入力して、お弁当の発注を取りまとめる。でも、心の中の重しが一つ取れて、品川の街並みが、少し違って見えるようになりました。

類似投稿